難攻不落な彼女
「何か新鮮だ〜」


「何が?」


教室に戻る途中、突然の涼介の発言に、咲良が聞くと


「俺さぁ、友達の恋の手伝いとかしたことないんだよね〜」


涼介の友人は、自分の好きな子を涼介に近寄らせたがらない。間違って涼介を好きになったら困るからだ。蓮は蓮で、自分の恋が成就するように誰かに頼むような性格はしていない。

また、女の子から、友達が涼介の友達を好きだから、協力して欲しいと相談されたことはあるが、それは友達の為というより、自分が涼介と仲良くなりたい為のようだった。


「あぁ〜、私もしたことないかも。」


咲良の言葉を聞き、自分と同じような立場だったのかと予想していると、それを裏切る理由だった。



「『咲良は恋愛に疎すぎて駄目だ』って言われた。」


その台詞を聞いて、思わず笑ってしまう涼介。確かに、咲良はそんなんに疎そうだった。


「あ!笑った!!どうせ、今まで彼氏も好きな人さえ出来たことありませんよ〜」


「いやいや、俺も彼女いたことありませんから。」


涼介のその言葉に、咲良は驚く。




「嘘?!彼女いたことないの??」




予想以上の反応の咲良に、涼介は何でも何でも無いように答えた。




「中学の時、気になってた女の子に言われたんだ〜
 
 『涼介君は、みんなのモノだからね』ってさぁ。ちょっとショックだったんだよね〜」




ちょうど二人が別れる場所に来た。みんな食事中なのか、周りは誰もいない。
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