難攻不落な彼女

「後は、唐揚げ揚げるだけだ！」


「すごいね！あっという間に出来たね！！」


驚く涼介に咲良は、何でも無いように答える。



「そうかな？

　うちはさぁ、一番上のお兄ちゃんが、すっごい料理が上手くて、手際がいいんだよね。

　だから、自分はそんなに手際が言いとは思わないかな。」



「咲良ちゃんより手際がいいとかあり得ない！」


他愛も無い会話をしていると、



「ただいまー」


玄関から声が聞こえた。


「喉乾いた〜。兄ちゃん、今日のご飯何？」


入ってきたのは、涼介ちょっと幼くして、黒髪にしたような少年だった。


咲良を見て固まる。


「お邪魔してます。」



咲良が笑顔で挨拶するが、少年は動かない。



「咲良ちゃん、これ弟の陽介。陽介、こちら鈴木咲良ちゃん。

　家に一人だっていうから、夕食に誘ったんだ。」



涼介の声で、やっと陽介が反応する。



「りょう兄の彼女？」



「おい、その前に挨拶しろよ！」



涼介の言葉で咲良が笑う。



「涼介君、お兄ちゃんみたい！」



「いやいや、お兄ちゃんだからね！」



涼介が突っ込むが、咲良の笑いは止まらない。


「こんにちは、りょう兄の彼女ですか？」


涼介の彼女かどうか、どうしても気になるらしい。


「違うよ！」


咲良じゃなくて、涼介が答える。



その時、涼介の携帯がなった。


「一番上の兄貴からメールで、後、１０分で帰って来るって


　二番目の兄貴は、今日は外で食うって連絡あったし、親父はいつも２２時くらいだから。」




「あ、じゃあ、唐揚げ揚げようかな」



「唐揚げ？？！！」


咲良の言葉に陽介が反応する。


その反応が、さっきの涼介とそっくりで、咲良は笑ってしまった。


「そう、だから、さっさと着替えて来い！」


「わかった！」


涼介の言葉に素直に返事をして、急いで階段を上っていった。



「涼介君にそっくりだね！」


「よく言われるんだよねー。４人の中で、俺らが一番似てるかな」



眉間に皺を寄せて言う涼介だが、そんなに嫌そうには見えなかった。