難攻不落な彼女
4章 気になる彼女
「へぇー。そんなことがあったんだ。」


翌日の昼休み、前日の出来事を蓮と颯太に話した。


「鈴木さんが、あの鈴木さんの妹ねぇ。

 言われてみれば、綺麗な顔とか似てるかも。」


中学が同じで、涼介の家に来た事のある蓮は、司を見た事があった。

話した事はないが、司の綺麗すぎる顔立ちは、数回見ただけで忘れられない。


「でも、惜しかったね〜。」

「何が?」

唐突に言う、颯太に涼介が聞く。


「だってさ、その、次男さんが連絡してなかったら、司さんは家に居なかったわけでしょ?もうちょっと違う展開が待ってたかも知れないのにねぇ〜。」



涼介は、颯太の言葉に驚く。



「お、お前何言ってんの!!」


「いやいや、健全な男子高校生なら普通の妄想でしょ?

 だって、涼介、咲良ちゃんのこと、好きなんでしょ?」


「いや、好きっていうか、気になるっていうか。」


ストレートに聞かれ、思わず口ごもる涼介。


「涼介ってさぁ、普段女たらしっぽくしてるけど、意外に純情少年だよね。

 いや、ヘタレの間違いか。」


颯太の容赦ない言葉に、苦い顔をする涼介。

(この気持ちは好きって言う事なんだろうか・・・)


颯太に聞かれると、またヘタレ扱いをされてしまいそうなことを思う


女の子の可愛いところが好きだった。


触れてくる柔らかい感触。


いつもいつも自分に媚びるような視線。


甘えたような声。



そのすべてが可愛くて好きなはずだったのに。





今の涼介の心を占めるのは。


些細な事で泣きそうになっていたこと。


ちょっとの事で自慢げなドヤ顔。


自分を励ます優しい笑顔。


心細そうな不安げな瞳。


自分を守ろうとする強い姿。



ただの友達として見れていないのはわかっている。


それでも、颯太のように、この思いが好きってことなのか、わからない。



前の恋は、実が成る前に間引かれてしまった。


だから、今度は、もう少しじっくりと静かに向き合いたい。


多分、もうすぐ色づき始めるこの思いを。
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