難攻不落な彼女
放課後、由衣が咲良のもとにやって来た。


「さぁ、張り切って課題するぞー」

「おぉー!!」


咲良もノッて二人で拳を揚げている。


「そんなに、張り切てやることか?面倒くさい。」


冷めたように言う蓮に由衣が反論する。


「面倒くさいから、テンションあげないとやってらんないんでしょ!

 あんたの残って、課題なんて面倒くさいとしかいいようがないじゃん!」


いつも通り喧嘩を始めそうな二人に咲良が言った。


「先に、飲み物買いに行こう!」

「いいね。行こう行こう!」


涼介も賛成し、4人で飲み物を買いに行った。



「さっきの話の続き、聞いても良い?」


涼介の言葉に、由衣が反応する。


「さっきの話って??」


「カップ麺が夕飯なのがトラウマって話。」


「何だソレ。」


3人に言われ、咲良は話始めた。


「私が、まだ小学校低学年だった時、一番上のお兄ちゃんと、三番目のお兄ちゃんが揃って風邪を引いた事があったの。

 二人とも朝は元気だったから、お母さんも、お父さんも仕事に行っていなくて、夕飯を二番目のお兄ちゃんと二人で食べることになったんだけど・・・

 二番目のお兄ちゃんだけ、料理が出来ないの。それでも、一生懸命作ってくれたんだけど、食べれる物に出来上がらなくて・・・」


「食べれる物に出来上がらないって、よっぽど酷かったんだね。」


由衣の言葉に咲良は言う。


「わかんない。お兄ちゃんが出来上がりを見せてくれなかったから。

 それで、仕方ないから、カップ麺を食べようってことになったんだけど、お兄ちゃんが泣いちゃったんだよね〜」


「泣いちゃった?二番目のお兄ちゃんって巧さんでしょ?」


驚く由衣に蓮が聞いた。


「何?お前知り合いなの?」


その問いに由衣が言う。


「巧さんって、お兄さんの中で一番大きくて、一番強い人だよ!」

「この間、会った一番上のお兄さんより大きいの?」



涼介は、咲良を送って行った時に会った、彰を思い出した。

涼介からすれば、彰もかなり大きく見えた。
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