難攻不落な彼女
4人は黙々と課題をした。

1時間ほど経ったとき、由衣が言った。


「今日は、この辺にしよう!提出は来週の月曜だし、ちょっとづつやればいいから。」


「そうだな。終わろう。」


そう言って、蓮も片付け始めた。


涼介と咲良は、少し早い気もしたが、2人の家庭環境を知っているから気を使ってくれたのだろうと思い、片付け始めた。


「涼介、お前は鈴木さんを送って帰れよ。」

「わかってる。鈴木さん一緒に帰ろう。」


「うん。ありがとう。」


にっこり笑う咲良に拍子抜けの涼介。

絶対に断られると思っていたから、あっさり受け入れた咲良に驚いた。

咲良を見つめると、咲良は、涼介に目で合図を送り、蓮に言った。


「私、涼介君に送ってもらうから、橘君は由衣をよろしくね。」

「え゛?!」


その言葉に蓮が咲良を見ると、咲良は笑顔で蓮を見つめ返す。


「は?!嫌よ蓮に送ってもらうなんて!!」


嫌がる由衣に咲良は有無を言わせず言う。

「駄目よ。最近変な人が出るって噂があるから。自分を課題してて遅くなった所為で由衣に何かあったら、私が嫌だもん。」


何も言えなくなる由衣を見て、咲良は蓮に言った。


「途中で喧嘩して、別に帰るってことが無いようにしてね。」


そう言う咲良には迫力があり、蓮は無言で頷いた。


それを見た咲良は満足そうに頷き、笑顔で言った。


「じゃあ、帰ろう!!」



「今日は?家に誰かいるの?」


由衣が聞く。


「うん。今日は、司君がいるはず。仕事で遅くなるけど、彰君も予定が無かったと思う。」

「そっか。」

「次に、一人の時は、うちに遊びにおいでよ!咲良なら急に来ても大歓迎だよ!!」


「ホント?やったー!!」


そんな話をしていると、駐輪場に着いた。

4人は自転車に乗り、校門で別れる。




「糸井!咲良のこと宜しくね!!咲良また明日ね!!」

「わかってる。」

「由衣、また明日ね!!橘君、由衣をよろしくね!」

「わかってる」


涼介と咲良は自転車をこぎ始めた。


しばらくして、咲良が言う。


「私、この辺でいいや。」


何となく予想していた言葉に、涼介はため息をついた。


「咲良さん、吉田に自分が言った言葉を俺に言わすつもりですか?」


涼介の言葉に、咲良が言う。


「だって、陽介君待ってるでしょ?」


「うちは、弟を溺愛してないから、夕食はカップ麺で大丈夫なんです!」


その言葉を聞いて、咲良が笑った。


「じゃあ、お願いしようかな。」


二人は自転車をこぎ始めた。
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