難攻不落な彼女
「あの二人は、仲良く帰ったかな?」


「大丈夫じゃない?あの二人が喧嘩してるのは、いつもの事だし、喧嘩しても家が近くだから、一緒に帰るだろうし。」

「あー、口も聞かないで、ちょっと離れて帰る二人が想像できる!」


笑いながら言う、咲良に涼介も同意する。


「あの二人はさぁ、どうしてあんなに拗れてるのかね。」


涼介が呟くと、咲良は言った。


「男の子同士ってそんな話しないの?」


「するやつもいるよ。でも蓮は、相手の話にはそこそこ乗る癖に、自分の話は一切しないんだよね!」


「なんか、橘君って自分の弱みを見せないよね!」


「まぁ、吉田さんのこと以外はそこそこ器用にこなすからね。そこだけ上手く行かなすぎて、意地になってるのかな?」


「そっかぁ、でも、橘君は絶対由衣のこと好きだよね。

 私、今まで橘君のこと由衣の話の中でしか知らなかったから、確信が持てなかったけど、橘君みたら、絶対由衣のこと好きだって思うもん!」


熱弁する咲良が微笑ましくて、涼介が笑うと、


「何で今笑ったの?!!」


少し怒ったように聞く咲良に涼介は慌てて弁解した。


「ごめんごめん。咲良ちゃんって、あんまし恋愛に興味が無さそうなイメージで・・・」


「そりゃ、他の子ほど興味津々ってわけじゃないけど、一応あるよ。

 それに、由衣は私の大切な友達だから、幸せになって欲しいんだよ。」


「そうかそうか。」


納得したような涼介に咲良は続けた。


「多分、すれ違ってるんだよ。由衣は、橘君は由衣のお姉さんの事が好きなんだって言ってたし。」

「あー、それは確かに、すれ違ってるね。蓮は、吉田さんは蓮のお兄さんの事が好きだって言ってた。」


「あぁ、すごく優しくてかっこいいお兄さん?」


「吉田さんが言ったの?」


「うん。でも、好きって言うより、憧れだろうね。」


そう言って黙った咲良。

涼介は少し聞いてみたくなった。


「憧れの好きと、恋愛の好きって何が違うんだろうね・・・」


真面目な雰囲気で呟く涼介に、咲良も真面目に答える。


「独占欲じゃない?」


「独占欲?」


「う〜ん。上手く説明できないけど、好きな人は、自分だけが知ってる姿っていうの?他の人には見せたくない!みたいな部分があるんじゃないかな。」



カフェオレを見て泣きそうな姿も


オレンジジュースのドヤ顔も


少し寂しげな顔も


真剣に唐揚げを作る姿も


涼介を守ろうとする強い姿も



全部全部自分だけが知っていればいいと思うも独占欲だろうか・・・


でも、それは家族も友達も見た事があるだろうから・・・


だから、もっと違う顔を自分にだけ見せて欲しいと思うのは独占欲だろうか・・・


そんなことを思いながら涼介は


「そうだね。」


咲良の言葉に賛同した。
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