難攻不落な彼女
それからというもの、咲良と涼介の間には何となく距離があった。

「はぁ〜・・・」


昼食中、ついついため息が出る。


「何だ。振られたのか?」


パンを頬張りながら、蓮が聞いて来た。


「失礼なやつだな!振られて何かないよ!!告白だってしてないのに・・・」


「でも、涼介が咲良ちゃんを好きだって噂はたってるよね?」


「・・・」


颯太の言う通り先日の一件から、涼介が咲良を好きだという噂がたっているのは事実だ。

そして、急に接点がなくなった二人に、涼介は振られたのだという噂もたっている。


「勝手に噂だけたってんの!!」


「まぁ、涼介も咲良ちゃんも目立つからね・・・仕方ないのかも知れないね。」


「ほんとっ、ほっといて欲しい・・・」


低い声で涼介が呟いた。


「「・・・・・」」


「何?」


無言で見つめて来る二人に涼介は尋ねた。


「・・・いや、初めて見るくらいダークな涼介だなと思って。」


「そうそう。いつでも、笑顔な涼介君はどーした?」



そういう二人をみて、涼介はまた、ため息をついた。



「仕方ないじゃん、もう他の女の子見ても何にも思わないんだから。

 むしろ、ほっといて欲しいとか思っちゃうんだから」



「涼介、ほんとに咲良ちゃんのこと好きなんだね。」


「みたいだな。」


「二人もそうなの?」


そう聞かれて、即答したのは颯太だ。


「俺は、そうだよ。まぁ、由衣ちゃんとか咲良ちゃんとかは可愛いなとか思うけど。
 
 女の子として可愛いって思うより、この二人は人としていい子で可愛いみたいな?

 やっぱり、彼女は次元が違うよね。」


可愛い顔をしている颯太だが、彼女に対する態度は男らしい。


「俺は・・・・」


言いどもる蓮に涼介が言った。


「お前は、言わなくてもわかるよ。吉田さん以外に興味がないことくらい。」


「・・・・」


はっきり言われて、蓮は黙ってしまった。


「はぁー」


涼介はもう一度、深いため息をついた。


もうすぐ、テストが始まってそれが終わればすぐに夏休みだ。


咲良との接点が無くなってしまう。


「どーしようかな?」


またため息が出てしまった。
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