君と、優しくて愛しい日々を。
まんなかロックオン 【君とキス】
『好きなんだけど、麻佑!』
長年のバスケ友達だった矢澤コウの突然の告白から、三ヶ月。
高校一年の冬、二月の最初に、私達の高校へ近隣の高校を招いて、練習試合があった。
先に女子の試合があって、結果は私達のチームの勝ち。
次の男子達の試合の準備を手伝ったり、自分達の試合の片付けをしたりなどのあとは、早々に帰る女子もいたのだが。
私が『このまま体育館に残って男子の試合を見る』と言うと、チームのメンバーは皆ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべ、口々に言うのだ。
『彼氏の活躍、見てあげなきゃねえ』と。
ああ嫌だ、そのこっ恥ずかしい呼び方。
『彼氏』とか、『彼女』とか、『矢澤コウの彼女』とか……
……あああ無理。恥ずかしい。無理。
そう呼ばれる度に心の中で反芻しては、私は身悶えを繰り返していた。