君と、優しくて愛しい日々を。
肩口まであるそのサラサラの髪は、とても艶やかで。
日の光に照らされて、輝いている。
透き通るほど綺麗な、宝石のような髪。
『…あんな髪色、見たことねえ』
『ほんと、美しいわね。羨ましいったらありゃしない』
ミラゼが自身の茜色の髪に触れながら、ぐちぐちと文句をこぼす。
けれど俺の瞳には、少女しか映っていなかった。
どう形容するのがいいのか、正しいのか、しっくりくるのか、わからない。
それが、ひどくもどかしかった。
少女は、俺たちに気づくことなく本を読んでいる。
……なんて、名前なんだろう。
その髪は、生まれつき?
歳はいくつ?
なんの本を、読んでる……?
興味がどんどん溢れてきて、気になって仕方が無い。
…今、思えば。
俺とジェイドが出会って、髪の色を見て、拒まれ、それでも彼女に話しかけてしまったのは、無意識に惹かれていたからなのかもしれない。
その声を聞いて、話をして、もっと長く、より近くでその色を見たかったからなのかもしれない。