君と、優しくて愛しい日々を。


『…ルト、本は苦手なんじゃなかったのか』

『そうなんだけどさ!調べたいものがあるんだよ、早く!』

リロザは気味悪そうに俺を見ていたが、しぶしぶ本棚へ視線を向けた。


『何がいい?文献か、図鑑か……』

『よくわかんねえから、任せる!あ、珍しい植物でも載ってるやつがいい!』

『…では、これがいいな』


つぶやくようにそう言って、リロザは本棚から一冊のぶ厚い本を取り出した。

それを見てあからさまに眉を寄せた俺に、リロザは呆れたようにため息をついて、『一緒に調べてやる』と言ってくれた。


『その植物の名前は?』

『わかんねえ!だから調べたい』

『……どんなやつなんだ』

『わかんねえ!』

リロザが、『それじゃ調べられない』という顔をする。

俺は慌てて『色!色は知ってるんだ』と付け足した。


< 19 / 86 >

この作品をシェア

pagetop