君と、優しくて愛しい日々を。
『…ルト、本は苦手なんじゃなかったのか』
『そうなんだけどさ!調べたいものがあるんだよ、早く!』
リロザは気味悪そうに俺を見ていたが、しぶしぶ本棚へ視線を向けた。
『何がいい?文献か、図鑑か……』
『よくわかんねえから、任せる!あ、珍しい植物でも載ってるやつがいい!』
『…では、これがいいな』
つぶやくようにそう言って、リロザは本棚から一冊のぶ厚い本を取り出した。
それを見てあからさまに眉を寄せた俺に、リロザは呆れたようにため息をついて、『一緒に調べてやる』と言ってくれた。
『その植物の名前は?』
『わかんねえ!だから調べたい』
『……どんなやつなんだ』
『わかんねえ!』
リロザが、『それじゃ調べられない』という顔をする。
俺は慌てて『色!色は知ってるんだ』と付け足した。