君と、優しくて愛しい日々を。


…嬉しいな。

今まで、ずーっと私の片想いだと思ってたから。

ナツが私を想ってくれてるって、実感する度に心臓が痛い。


私はまだ高校二年生で、彼は大学二年生で。

たぶん、私なんかよりずっと大人で、私が知らないことも、たくさん知ってる。

夏が大好きで、明るい笑顔が眩しくて、海が似合う、そんな人。

…ナツが彼氏なんて、まだ信じられないな。


彼への憧れがつのった三年間、私はたくさんに努力をしてきたけど。

やっぱりどうやっても、追いつけないって思う。

たぶん、好きの比率でいえば、私のほうがずーっと好きだと思う。

だから私は、最近戸惑ってばっかりだ。

夏以外の彼の姿を知る度に、彼への憧れが愛しさに変わっていくから。


『じゃ、またな。おやすみ』


彼からもらう『おやすみ』って言葉も、もう何度目だろう。

私はいつものように「おやすみなさい」と言って、電話を切った。


……ナツと付き合い始めて、私はもっともっと彼のことを好きになって。

憧れが大きくなって、それと同時に愛しさがつのっていって。


私ばっかり、どんどん好きになっていく。



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