君と、優しくて愛しい日々を。


まだ色んな人に意外だ意外だって言われちゃうから、私なりに頑張らなきゃ。

ちょっとでも可愛くなれるように、少しずつ少しずつ。


そんなことを考えながら、男子達とミオと、別の話題で盛り上がる。

すると、突然クラスメイトの子に「色葉〜」と呼ばれた。


「王子、呼んでる」


その言葉に、ぱあっと気分が明るくなる。

王子っていうのは、純くんのこと。

普段クールだから、女子達から『クール王子』って呼ばれてるんだよね。

ニコニコしちゃうのを抑えながら、「はーい」と返事をして、教室の扉のほうへ向かった。



「どーしたの?」

合服の長袖シャツを肘の辺りまでまくったその姿は、今日も格好いい。


「…んー、ちょっと、教科書借りにきた」


そう言いながら、純くんはちらりと教室のほうへ目を移す。

その目がだいぶ鋭いように感じるのは、気のせい?


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