君と、優しくて愛しい日々を。


「…どこにガンつけてるの、純くん…」


眉を寄せて、彼を見上げる。

純くんが「んー…」とにごった返事しかしないから、くるりと後ろを振り返ってみた。

すると、同時にさっきまで一緒に話していた男子達が、びくりと肩を揺らす。

…えっ。

驚いてミオのほうを見ると、顎でくいくい、と純くんを指してくれていて。

…もしかして純くん、あの男子達を睨んでるの?

な、なんで…?と思いながら、また彼を見上げる。


「…純くん。なんの教科書?」


尋ねると、純くんは少しだけハッとしたような顔をして、私を見た。

「あ、ああ…えーと、日本史」

「はーい」

ちょっと待ってね、と言って、ロッカーへ向かう。


「ミオもね、さっき現代文の教科書借りに来たんだよー」


はい、と日本史の教科書を渡す。

「ありがと」

純くんによると、四組で授業変更があって、日本史と現代文が必要になっちゃったらしい。


「突然変わっちゃうと、面倒だね」

「なー」


そう言って笑ったあと、純くんは日本史の教科書を持ったまま、じっと私を見た。



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