ロングバケーション
「…私なんて、来るお客様ゲットしなきゃいけないのよ?

責任重大じゃない・・・

お客ゼロとかになったらどうしよう・・・」


…ただでさえ、失恋して、仕事に対するモチベーションも

降下してるって言うのに、気合なんて入るわけがない。


夕方まで、憂鬱なまま、仕事をしていた。

「今日はもう、お客様は来そうにないし、閉めますか」

そう言って、安藤さんが後片付けをしようと、立ち上がった。


「…安藤さん」

「…なんですか、佐伯さん?」

目の前まで近づかれ、安藤さんが引き気味で、私を見る。



「この企画、・・・のった!」

「・・・は???」

広告を、安藤さんに押し付けた私は一言そう言った。

安藤さんは全く意味が分からない。



「私の有給、今年で全部無くなっちゃうんですよね?」

「…そうですね。佐伯さんは、仕事を頑張って、有給はこの3年、

一度も使っていないので、1か月近く残ってますね…それが?」









「ロングバケーション、私が行きます!」

「「「はあぁぁぁぁぁ?!!!」」」
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