ロングバケーション
頑張って突っ走って来たんだもん。

この我が儘は、…許されるよね?

私の目が、どんな風に移ったかは分からない。

最初に溜め息をついて、笑ったのは鈴だった。


「…負けた、負けたよ美和」

「…鈴」

「美和は、私たちの為に、本当に頑張ってくれてたから」


「あ~ぁ。ホント、美和には敵わねぇな」

「…高志」

「お前がどれだけ、頑張ってるかなんて、俺達が一番知ってるんだもんな。

お前の我が儘聞くしかねえじゃん」

そう言って苦笑いした高志。


「全く、2人とも、佐伯さんには優しいですね」

そう言って安藤さんは微笑んだ。


「何言ってるんですか、一番美和に甘いのは、安藤さんじゃありませんか」

鈴はそう言って安藤さんをなじった。


「あ、わかりました?だって、佐伯さんが一番頼りになりますからね。

…仕方ありませんね。佐伯さんの我が儘なんて、初めて聞きましたから。

聞かないわけには行きませんよね?

この企画、私たち3人で、何とか成功させましょう。

佐伯さんは、しっかり、鋭気を養って来てください」

そう言って安藤さんが、私の背中を押してくれた。
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