ロングバケーション
「ありがとう・・・ありがとうございます」

なんだか、みんなの優しさが、心に沁みて、

涙が出てきた。


「あ~あ、失恋で、こんな事くらいで、うれし泣きしちゃって」

そう言って鈴が、私の涙をハンカチで拭った。


「鬼の目にも涙」

「…高志、アンタね」

涙を拭いながら、高志を睨むと、高志はふふんと鼻で笑った。


「まぁまぁ、2人とも・・・

佐伯さん、今日の仕事は終わりました。

明日から有給を使って準備してください。

1か月の長旅なんですから」

睨み合う二人を引き離し、安藤さんが私にカバンを持たせると、

外の方に連れて行く。



「あの、でも、安藤さん、今までの仕事はどうしたら?」

そうだ、この仕事は任せられても、今までしてきた仕事は、

ちゃんとやらなければ。


「美和の肩代わりは引き受けたからね?」

「美和の尻拭いはちゃんとやるよ」

鈴と高志が言った。
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