ロングバケーション
飛行機の後方40席は、私たち旅行者で埋まった。

添乗員の高志は、一番後ろに乗って、

今後のスケジュールを確認していた。

「…高志」

「…ぉ、美和。少しは楽しんでるみたいだな」

そう言って笑顔を見せた高志。


「うん、同い年の人がいて、席も隣なの。

1か月なんて長い旅行だと思ってたけど、楽しめそう」

そう言ってフフッと笑うと、


「失恋の痛みも、時間次第ってやつだな・・・よかった」

高志はそう言って、私の頭をポンポンと叩いた。


・・・その行動に、思わずドキッとした。


ダメダメ。

高志は確かにイケメンだけど、女ったらしだし。

(実際は知らない、知ってるのは噂だけなんだけど)

第一、私はまだ失恋したばかりなんだから。

新しい恋なんて・・・・?!


「・・・何やってんの?」

頭を振る私を見て、高志は、不思議そうに首を傾げた。


「…いや、何でもない」

私はそう言って苦笑いすると、席に戻っていった。
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