ロングバケーション
だって、男女、どちらからともなく、話しかけ、

気が付けば、もうカップルのような仲の良さを見せつけられた。


…この中に、私のタイプはいな…ぁ。

見渡していると、バッチリ目が合ってしまった。

スーツの男。

無愛想に絵をかいたようなその顔に、私は思わず一歩後ずさる。

それなのに。


「アンタもこの旅行の参加者?」

「は、え、はい、そうですけど」

「アンタ一人だけ、スッゲ―場違いな気がする」

そう言い捨てると、スーツの男は、添乗員の方に向かって歩き出した。


カチンっ!

私が頭に来たのは言うまでもなく、

後ろを向いている事を良い事に、思いっきりべーっと

舌を出してやった。


…ぁ。

ムッカ~~!!

何でタイミングよく振り返るのよ。

その男は、私の行動を見て、親指を首にスライドさせた。

・・・あんな男と一か月一緒なんて拷問だわ。


そう思わずにいられなかった。
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