ロングバケーション
「お前って、ずっと不機嫌だよな」

「・・・」

食事をするのも、行動するのも、

慎一と共に行動しなければいけなかった。

添乗員の高志は、あくまで相談役で、私達の中に介入する事を、

上から禁止されていると言っていた。


…私にとって、この旅行は、拷問以外、何ものでもない。


「誰かの為に、作り笑いできるタイプじゃないのか」

「・・・」


「…この旅行の最後まで、一言も喋らないつもりか?」

「…男のくせに、お喋りが過ぎるわね」

そう言った私は、また黙り込んで、食事に集中する。

・・・が、慎一は全く懲りない様子で、話しかけた。


「・・・ったく、めんどくさい女だな。

ほら、行くぞ、ついて来い」


「…エッ!ちょっと?!」

手に持っていたナイフとフォークを奪い取った慎一は、

レストランの外に私を連れだした。





「・・・わぁ・・・」

思わずそんな声が漏れた。
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