ロングバケーション
星が降る。

その言葉が、今の空に一番合っているかもしれない。

ただいまの時刻、午後8時。

島だけあって、あまり街灯も家の明かりもない。


そのおかげで、満天の星空が瞬いていた。

月も、三日月と明るさを主張していない。

最高の星空だ。


口を開けて空を見ていた私が、可笑しかったのか、

慎一が隣でクスッと笑った。


「…笑わないで」

人の顔を見て笑うなんて、やっぱり最低な男だ。



「アンタの顔が可笑しくて笑ったんじゃない」

「・・・え?」


「さっきの仏頂面より、はるかに可愛い顔してたから、

ちょっと嬉しかっただけだ」


「///!!」

思いもよらない言葉に、私の顔はみるみる真っ赤になる。

…実は、28年間生きてきてそれなりに彼氏は出来たけど、

こんな言葉を言われたのは初めてだったのだ。


・・・って、どれだけ男運がないんだよ。

と、自分で自分を思わず突っ込みたくなった。
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