ロングバケーション
「…ぁ、鼻水」

「・・・へ?・・・!!!」

私は慌てて鼻水をテイッシュで拭いた。

・・・ありえない状況に、恥ずかしいやら。

穴があったら入りたいやら・・・。


南の島とはいえ、夜はやはり風が少し冷たい。

薄着をしていた私は、条件反射のように、鼻水が出てしまったようだ。


そんな私の様子を、可笑しそうに慎一は見つめていた。


「…連れてきてくれて、ありがと・・・じゃ」

「・・・おい」

私は恥ずかしさを隠すようにホテルの中へ逃げるように入った。

…この場は離れられても、寝る時はまた一緒なのよね。


そう思うと憂鬱で仕方がなかった。


…なんだか、部屋に帰り辛かった私は、夜の浜辺を歩いてみたり、

ホテルにある雑誌に目を通したりしていた。


「美和ちゃん」

「・・・あ、樹里さん」


「彼との相部屋はどう?」

慎一の事を言っているのだ。

…慎一を狙っちゃおうかなとか言ってたっけ。
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