ロングバケーション
さっきまでスーツに身を包んでいたはずの慎一が、

離れている間に、とてもセンスのいい私服に着替えていた。

…しかも、シャワーを浴びたのか、髪がしっとりと濡れていて、

イケメンにさらに磨きがかかっていた。


「い、いいじゃない、別に相部屋の人交換したって。

樹里さんがアンタと一緒がいいって言うんだし。

私はアンタみたいなお喋り男、タイプじゃないし」


そう言いながら目は泳ぐ。

だって、スッゴイ眼で睨まれてるんだもの。

慎一の顔なんて見られるわけがない。


「樹里さんって言いました?」

「えぇ、そうですけど」


「オレ、コイツ意外と相部屋なんて無理なんで」

「・・・」

「ば、バッカじゃない?!」

慎一の言葉に、驚いた私はそう言って慌てる。

が、慎一は全く気にしないと言った顔で、私の腕をガシッと掴むと、

呆気にとられる樹里をその場に置き去りにして、部屋へと連行していった。


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