ロングバケーション
呆気にとられる私を差し置いて、颯太は

慎一の所に走って行ってしまった。

・・・その場に立ち尽くしてる私は、2人の会話を、

ただただ見つめていた。

…若干の距離がある為、2人が何を話しているかは分からない。


でも、最初は怒っていた慎一が、なんだかこちらを見て、

渋々頷いていた。


それを確認した颯太は、嬉しそうな顔でこちらに戻ってきた。


「・・・・」

何を言うでもなく、私は颯太を見つめる。


「意外に、すぐにOKくれましたよ」

「・・・え?!」

樹里が言った時には、完全否定してたくせに。

颯太が言ったら、簡単にOKしちゃうんだ。

…女恐怖症ってのも、嘘かもしれないな。


そう思えてならなかった。


散歩を済ませた私たちは、各部屋に戻った。


「…キャッ!・・・何すんのよ?!」

部屋に入った途端、慎一が、私のカバンを放り投げた。

私は無我夢中で、それを受け取った。
< 32 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop