ロングバケーション
部屋のベッドに私を座らせ、慎一はホッと溜息をつく。


「…強暴なくせに、何で抵抗しなかった」

「…私、女ですけど?」

涙を拭いながら、必死に憎まれ口を叩いた。


「…バカ、分かってるよ、そんな事」

「・・・・ぅ」

その言葉を最後に、震える私の体をギュッと、ギュッと抱きしめた慎一。

私は、一気に安心感が襲ってきて、ずっとずっと泣いていた。


…慎一にしがみ付いて、一晩中。


・・・でも慎一は、嫌がる素振りもしないで、

私を一晩中抱きしめていた。




・・・・泣きじゃくって、


・・・・安心して、



・・・・明け方には、いびきをかいて寝てしまった私。



・・・いびき、


それを知っているのは、慎一だけ。


眠っている私が知るはずもない。

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