ロングバケーション
先にレストランに向かったオレは、

颯太にばったり出くわした。

…いや、颯太は、美和を待っているようだった。


「美和はまだ来ないぞ」

「…美和さん、怒ってますよね」


「・・・さぁな」

「オレと、話してくれますかね?」

「…無理だろうな。・・・あんな酷い事やったんだから」


「・・・・」

「まぁ、美和が話すと言っても、俺が許さないけど」

「慎一さんって、美和さんの事、・・・」


「…勘ぐり過ぎだ」

「オレ、本気で、彼女が欲しいんです」

「…最初のやり方を間違えたな」

そう言い捨てて、オレはレストランに入っていった。


・・・・。

コーヒーを飲みながら、英語で書かれた新聞に目を通す。

そこへ、美和がやってきた。

「美和、アイツは?」

「・・・アイツって?」

…美和は、颯太とは会っていないようだ。


「いや、こっちの話し。さっさと食え。

買い物に出かけるぞ」
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