ロングバケーション
「・・・いい」

「・・・え?」


「今日は部屋で過ごしたいの」

「・・・」


「ゴメンね・・・」

「一人にした方がいいか?」

「・・・う、ん」


「じゃあ、少し出かけるから、ゆっくりしてろ」

「・・・ありがと」

そう言って微笑んだ美和の顔は、どこか元気がなくて。

さっきの勢いはどこにも見られなかった。


食事を済ませ、オレは街を歩いていたが、

こっちに来てからずっと一緒にいた美和がいない。

たったそれだけの事なのに、ぽっかり穴が開いたみたいで。

・・・さっきの元気のない微笑みが気になって、

たった数時間の散歩は終わりを告げた。




「…美和?」

部屋のドアを開けると、開いた窓から涼しい風が入ってきた。

揺れるレースの向こうに、美和の後姿が見えた。

オレはそっとそれに近づく。
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