ロングバケーション
…そうは思っても、これ以上深入りする自信など、

今の私にはかけらもない。


…このまま一緒にいたら、なんだか、自分がもっと惨めになりそうで。

私は静かにベッドから抜け出すと、ある部屋に向かって歩いた。



ガチャ。

「ちょっと起きなさい、高志」

「んぁ?…美和か?…なんなんだよ、こんな真夜中に」


寝ぼけ眼の添乗員高志。

私はそんな事お構いなしに、話しを続ける。

「帰りたいの。」

「・・・は??」


「今すぐ」

「バカ言え!・・・こんな真夜中に、飛行機が飛んでるわけないだろ?」

「始発の飛行機でいいの…お願い」

「何バカなこと言ってんだよ?この旅行始まって、

まだ10日位だぞ?まだ終わってない」


「後10日以上も、ここにいたくないの!」

「…何か、あったのか?」

「・・・・」

「話し、聞くから、とりあえず落ち着け、な?」

「無理、お願いだから…私を日本に帰して」

「…美和」
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