ロングバケーション
「・・・えっと。何でここに、美和ちゃんがいるのかな?」

会社の中、一番乗りできたはずの安藤さん。

いるはずのない私を、不思議そうに見つめている。


「今日から、会社に復帰まします」

「・・・だから、なんで?」


「旅行から帰って来たからです」

「…まだまだ、向こうにいるはずだよね?」

当たり前の事を質問する安藤さんに若干イラッとした私は。


「嫌になったから、帰って来たんです!」

ちょっと、怒った口調で言ってしまった。


「…ゴメン、」

「あ、いえ…あの、私こそ、すみません」

申し訳なさそうに謝る安藤さんにハッとして、私も咄嗟に謝った。


…すると、2人とも、苦笑いを浮かべた。


「…本当なら有給のはずだからね?…手続し直さなきゃだね」

「…お手数おかけします」

・・・しまった。そこまで頭が回っていなかった。

一か月分の有給になってたんだよね、私。

・・・失恋してからの私は、どうかしちゃってるんだ。

周りに迷惑ばかりかけている。

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