ロングバケーション
「そんな顔しないの」

「・・・え?」

俯いている私に声をかけた安藤さん。

私はそっと顔を上げて安藤さんを見た。


「今までの美和ちゃんは作り物だったってよくわかったよ」

「・・・・」


「今の美和ちゃんが、本当に美和ちゃんだ」

「・・・」


「君はそのままでいればいい。

そうやって正直にいなきゃ・・・。

いつも自分にウソをつてたら、いつか壊れちゃうからさ」


「…安藤さん」

いつも、どんな時も優しい安藤さん。

安藤さんの奥さんが羨ましい。きっと幸せなんだろうな。



「美和?何であんた、ここにいるのよ?」

当然、鈴もいるはずのない私を見て驚いている。


そんな鈴を見て、私と安藤さんは顔を見合わせて笑った。


「勝手に二人で理解し合わないでよ~・・・。

私も仲間に入れて」

そう言って鈴は半べそをかいた。

・・・やっぱ可愛いわ、鈴は。
< 49 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop