ロングバケーション
「私も詳しい事は知らないんだけどね?

…とにかく、美和ちゃんが帰ってきて、仕事復帰したんだから」


何とか宥めようと必死な安藤さん。

「何で今まで佐伯さんだったのに、美和ちゃんになってるんですか?」

相変わらず半べそをかきながら、鈴が言う。


「・・・あれ?そう言えばなんでかな?」

その質問には、当の安藤さんも首を傾げている。


「…酷い、なんか私だけ置いてけぼり」

そう呟いて、鈴がシュンとした。


「鈴ちゃん、まあまあ…ぁ、電話」

もう、始業時間だ。安藤さんは慌てて電話に出る。


言い合いしている私と鈴は、どんどん険しくなる安藤さんの顔を見て、

ピタッと、言い合いを止め、電話を切るのを待った。


「…安藤さん、一体何が?」

「美和ちゃん」

「・・・はい」


「今すぐ、ロングバケーションの目的地に帰って」

「・・・は?」


「上司命令」

「え、あの・・・?」

「私の首が飛ばないうちに」

「?!!」
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