ロングバケーション
「・・・あぁ、今日は鈴ちゃんに受け付けしてもらって」

そう言って苦笑いしたのは、私たちの上司、

安藤 学(36)。

双子の子供を溺愛、尚且つ妻を溺愛する

出来た人だ。


「…はいはい、わかりました。

どうせ酷い顔ですよ・・・裏方やってますよ。

お茶くみでも、コピーでも何でも言ってくださいね」


そう言ってみんなを睨むと、

鈴も、高志も、安藤さんも、顔を見合わせ、引きつり笑いをしていた。


そんな3人をよそに、

私は顧客データを痛い右手をかばいつつ、

必至にパソコンに入力を開始した。


次々に入力をしていて、終わったと思った頃。

一枚の広告が目に飛び込んできた。


『ロングバケーション』


「ロングバケーション?」

私はなぜか、その広告に目が釘付けになった。


「・・・お。その企画良いだろ?」

そう言ってその広告を奪い取ったのは高志。
< 6 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop