トナカイくんとハッピークリスマス!


すぐに母親らしき女性に呼ばれて行ってしまったけれど、女の子はくるりと振り向き



「トナカイさんバイバーイ。サンタのお姉ちゃんもバイバーイ」


「えっ、あたしも!?」



大きく手を振りそう叫んだ女の子の言葉に驚いて自分を指差してしまった。


だってあたしまで言ってもらえるなんて思ってもなかったから。でもすぐにこみ上げてきたのは嬉しさで、



「うん、バイバーイ! また来てねー」



大きく手を振って応えてたんだ。


女性に手を引かれ遠ざかっていく女の子の姿が見えなくなるまで振り続けた。



サンタのお姉ちゃんだって~、可愛いぃ!!


サンタの格好してて良かったぁ


サンタのお姉ちゃんやる気出てきたぞ!!



現金にも今のやり取りでやる気が出てきたあたし。



「クリスマス特別企画!! セットメニューを頼んだお客様に“本日のケーキ”を無料でお付けしまーす!!」



すっかりその気になって声を張り上げて客寄せする。


なんだ、割り切ってやっちゃえば視線なんて気にならないじゃん。



楽しくなってきたかも!!



企画に気付いて笑顔で入店してく人たち。


「ごちそうさまでした~」と満足そうにお店から出てくる人たち。


そんな人たちを見てるだけであたしまで元気になれる。


人の笑顔が見られるのってすごく気持ちがいい。


それから2時間くらい。


時間はあっという間に過ぎてしまった。







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