トナカイくんとハッピークリスマス!
遠くから野球部やテニス部の掛け声が聞こえてくる。
あたしはそっと体育館の中を覗いてみる。
うそ…!!
驚いた。だって峰岸くんが。ジャージ姿の峰岸くんがそこにいたから。
来たばかりなのか荷物を床に置いているところだった。
あたしは急いで体育館正面入り口に向かい、靴下で中に入る。
「みーねぎーしくんっ」
床に肘をついてバッシュを履き始めていた峰岸くんは
ピタリと動きを止めて、黒縁メガネの奥の目をまんまるにしてあたしを見ていた。
「ちょうど学校の横を通りかかってなんとなーく覗いてみたら峰岸くんがいたから。
見学してもいいかな? お邪魔じゃなければ」
あたしの突然の申し出に少し戸惑ったように視線を泳がせたけれどすぐにコクリと頷いてくれた峰岸くん。
バッシュの紐を結ぶ峰岸くんの隣にちょんと座る。