トナカイくんとハッピークリスマス!
砂糖2つとミルク1つ。
すでにあたし好みの甘さになってるコーヒーをすすって、「そういえば」と思い出す。
「お店の前にトナカイ立ってたけど、何か始めたの?」
あたしはお店の外を指差した。
窓越しに見えるのは、ついさっきぎこちないお辞儀を交わし合ったトナカイの背中。
「ああ、トナカイね。首に看板かかってただろ。見なかったのか?」
「看板?」
別のお客様のコーヒーを淹れながら答えたお兄ちゃんの言葉に首を傾げる。
そんなのあったかな?
思い出してみるけれど、
トナカイという衝撃とぎこちないお辞儀しか思い出せなくて
「んー…、ごめん。トナカイばっかに気を取られてたかも」
正直に話すと「ははっ、そうか」とお兄ちゃんは手を止め、棚の方に向かい何かを持ってきてくれた。
「もうすぐクリスマスだろ? だからこんなのを始めてみたんだ」