トナカイくんとハッピークリスマス!
「ったく、あんな着ぐるみでカッコつけやがって」
トナカイくんに駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか…」
あっ…
よろめきながらゆっくりとトナカイの着ぐるみが動き出す。
――えっ…
トナカイくんは再び立ち上がり、両手を広げて男の人たちの前に立ちはだかった。
風船を握り締めて。
トナカイくん…
「ああ゛? まだやんのか?」
ついに拳がトナカイくん目がけて振り上げられて、あたしは思わず目をつぶった――
周りからもキャッっと声が上がる…
「……」
あれ…?
目を開けると拳は振り上げられたままで、その手首を掴む手がそれを阻止していた。