トナカイくんとハッピークリスマス!
「こんにちは…」
小走りで向かった先は
「こんにちは。待ってたよ」
この前、今度あたしに告白をしようと思ってる、と言ってお兄ちゃん宛に手紙を渡してきた越川先輩。
今朝の下駄箱に再び手紙が入ってたんだ。
このパターンは何度か経験済み。
「お兄さんに渡してくれた?」
さっそくというように話を切り出したのは越川先輩。
「ええ。渡しました」
「それでお兄さんは何て?」
「認めない…、そうです」
少しだけ俯くように視線を落とす越川先輩。
「そもそも兄は関係なくて――」
「そもそも、お兄さんの許可は必要なのかな?」
言いかけて抑揚の無い越川先輩の声に遮られた。