トナカイくんとハッピークリスマス!
見る見るうちに青ざめていく越川先輩。
「今引けばなかった事にしてもいいんですけどね」
「お、お前、峰岸っつったな。チクったらただじゃおかねーからな!」
辺りをキョロキョロ見渡し逃げるように走っていく越川先輩。
「……」
先輩すっごくカッコ悪…。
そんなことより…!!
あたしは落ちたメガネを拾っている峰岸くんに振り返る。
「助けてくれてありがとう。メガネ大丈夫だった? 傷とかついてない?」
「うん。大丈夫。それに壊れたとしてもこれ安物だし、換えはいくらでもあるよ」
「えっ、メガネって高いもんじゃないの? あたし視力いいから分からないけど」
「俺も視力はいいよ。これレンズ入ってないから」
「えっ、ダテメガネってこと?」
「まぁそういえば聞こえはいいかもしれないけど、
俺の場合、顔を直接見られないための視線避けっていうか…、クラスに慣れたら外そうと思って」
力なく笑ってメガネをかける峰岸くん。
クラスに慣れたらって、もう今のクラスになって8ヵ月は経つんだよ。
クラスの絆を深める行事ももうほとんど終わっちゃってるよ?
極度の人見知り、どんだけだよって、ツッコミ入れちゃうぞ!