トナカイくんとハッピークリスマス!
峰岸くんと並んで座りお弁当を食べる。
教室で食べていた峰岸くんだったけれど、あたしが出て行く姿を見つけて、なんとなく後をついてきたんだって。
「後を追うなんて引くよな…」とバツが悪そうにしてたけれど、そのおかげで先輩から助けてもらえたんだもん、引いたりなんかしない。
先輩に立ち向かう峰岸くん。
カッコよくてナイトみたいだった。まるで昨日のトナカイくんみたいだ。
「戸田さんのお弁当美味しそうだね。自分で作ってるとか?」
「これ? そうだよ。うち父子家庭だから家事全般あたしがやってるの。あたしが作るご飯は美味しいってお父さんにもお兄ちゃんにも評判いいんだ。お世辞も入ってるだろうけどね。
あ、そうだ!」
あたしは思い出して鞄の中を漁った。
透明の包み袋を取り出して峰岸くんに差し出す。
「クッキー焼いてみたの。良かったらもらって?」
「えっ、俺に?」
「うん。たくさん焼きすぎちゃったから」
「あ、ありがとう…」
優しく受け取ってくれた峰岸くん。照れくさそうに耳の後ろを掻く。
そんな姿にあたしも嬉しい気持ちになる。
「あーれ。今度は仲良くお弁当ですか?」
ちょうど渡辺くんが現れて、ささっとクッキーを隠した峰岸くん。