トナカイくんとハッピークリスマス!
拳を上に突き上げるけれど顔はデレデレと嬉しそうなお兄ちゃん。
大学時代からこの喫茶店でバイトをし、そのままここに就職したお兄ちゃんに去年オーナーからこのお店を譲り受けたんだ。
その元オーナーさん、自分探しの旅に出たとか出ないとか…
とにかく若くして自分のお店を持ち、このお店を愛し、この仕事に誇りを持ってるお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんを尊敬するしカッコいいと思ってる。
本人の前では絶対に言わないけれど、実は自慢の兄だったりするんだ。
「みんな企画に喜んでくれてる?」
「おう、もちろん。…でもな、」
「どうしたの?」
困ったように腕組をしたお兄ちゃんはチラリと外に視線を送る。
あたしもそれを追うと、そこには窓越しに見えるトナカイの背中。
「バイトを雇って昨日からあれをやってもらってるわけだけど…、客を引き込もうにもあれじゃ物足んないと思わないか? パッとしないというか何というか」
「インパクトはあると思うけど?」
あたしはもう1度トナカイに視線を送る。