トナカイくんとハッピークリスマス!


…でも、まぁ確かに。


問題がないとは言い切れない。


だって顔を完全に隠した被り物だから声出しができないんだ。


「常連客ばっかりなんだ…」と嘆くお兄ちゃん。


それもそのはず。


トナカイは少しコミカルな動きはしてるけれどやっぱりぎこちなくて。


風船を欲しがる子に風船を渡して頭ナデナデ~みたいなことはしてるけど、企画に気付いてる人はほとんどいないみたい。


企画に気付いてもらえなきゃ新規のお客様を取り込むことはできないし、皆を喜ばすことだってできない。


でもそれなら、企画に気付いてもらえればいいってことだよね?



「だったらさ、もう1人雇ってサンタの格好で声出しでもしてもらったら? 駅前のデパートでもそんなことしてたよ?」



美香と雑貨屋さん巡りしてた時に通りかかったデパートの前でやっていた風景を思い出しそんな提案をしてみる。


ほんの軽い気持ちの提案だった。


でもそれがいけなかった。



あたしの案に「それだ!!」と目を輝かせ



「愛梨そこで待ってろ。絶対帰っちゃダメだからな! サメっち、ここ頼む!」


「えっ、ちょっとお兄ちゃん!?」



ホールスタッフの鮫島さんにキッチンを頼みエプロンを投げ捨て外に飛び出していってしまったお兄ちゃん。



あの目の輝き…


ちょっと…、いや、かなり嫌な予感がするんですけど…







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