クリスマスの約束
先輩の言っていた通り、体育館には明かりが点いていて、中に一人自主練をしている人が居た。
ゴールに向かって放たれるボールが、ネットをくぐり抜けず跳ね返ってくる。
そのボールは入り口に立っていた私の元へ。
苛立ちを隠せず頭をワシャワシャとしている小山くんは、こちらの様子に気づく気配もない。
私は、転がってきたボールを拾い、小山くんに近づく。
人影に気づいた小山くんが、振り返り驚いた顔を見せる。
「古…木さん?」
「小山くん!あの…私、小山くんが好きです!もし、今シュート出来たら…付き合ってください」
突然のことに驚きを隠せていない小山くん。
「もっもし、入っても嫌だったら断ってくれて良いから」
と付け足し、靴を脱いで滑りやすい靴下を履いた状態でボールを放つ。