切れない鎖
別れ
「一条君、半年間だったけど、私、その、一条君のこと好きでした!」
学園の裏側で渡される手紙と、放たれる言葉。
「あの、人を、間違えたりしてないかい?」
優輝はおずおずと尋ねた。
目の前には白っぽい髪の毛を長く伸ばし、緩く三つ編みをしていて、背が高く、優輝よりも少しだけ小さい、すらっとした可愛らしい女の子。
「間違えてなんかないわ!私、一条君のこと好き!」
女の子は少し怒ったように言った。
「ありがとうクラン。けど僕は、今日故郷に帰るんだ。もう簡単に会うことは出来ないんだ」
「それでもいい!手紙とか送るから、私と……」
クランは泣き始めてしまった。
留学生として学園に来てすぐに話しかけてくれた女の子だ。
優輝はクランの肩に手を置いた。
「クラン、君は明るくて、美人で、人気がある。僕じゃなくても、君を幸せにしてくれる男性は沢山いるよ。むしろ、僕は君を幸せに出来ないんだ。分かってくれるかい?」