切れない鎖
クランはぐずっていたが、ようやく笑顔を見せた。
「分かったわ。私、きっと他の素敵な誰かと幸せになる。一条君も、きっと幸せになってね」
クランはそう言うと走り去った。
本当に可愛らしく、強い子だった。
すると、優輝が突然しゃがみこんだ。
「こ、告白とか初めてだったぁぁぁ!」
日本では政略結婚が主だったり、お見合い結婚が多いので、まさか自分がそういう事に遭遇するとは思っていなかったのだ。
「僕はクランを幸せにすることは出来ないよ」
優輝は立ち上がった。
「なんだか、あの女の子に会いたいなぁ」
優輝は塔の中にいる美しい少女を頭に思い浮かべた。
「港に行くまでにはまだ時間があるから、最後に会いに行こう」
優輝は塔に向かって歩き始めた。
カッカッカッカッ
と、音を立てて上る。