切れない鎖
こうして階段を上るのも、何度目だろう。
いつまで続くか分からなくなり、不安になることもあった。
だが、必ず少女は頂上にいる。
ただ、それだけを信じてずっと通い続けた。
そして今も。
ギィ
と、重い扉を開く。
そこにはいつだって、少女がいるのだ。
「君か」
少女は本から顔を上げることなく呟く。
「うん。僕だよ」
優輝は少女に近づいた。
少女も顔を上げる。
「僕、今日、帰るんだ」
「そうか」
少女の、深い、青い瞳と、優輝の黒い、美しい瞳が混ざり合う。
「元気でいてね」
「あぁ。一条、君もな」
「うん」
すると、少女がだんだんと泣きそうな顔になってきた。