切れない鎖
「ふっ、あぁぁぁ。あぁぁぁ」
優輝は泣いた。
歩きながら泣いた。
少女を救えなかった自分の弱さを嘆いた。
「ごめんね。ごめんね」
名前も知らない少女。
名前なんか、自分がつけてあげればよかった。
少女になら、どんな名前でも似合っていただろう。
「また、会おうね‥…‥」
その言葉を信じて、また、いつか会おう。
簡単に会える距離でないことは分かっている。
それでも会いたい。
今、少女から離れていっているのに、会いたい。
けれど、故郷に帰らなくてはならない。
「また、会おうね‥…」
優輝はいつまでも言い続けた。