切れない鎖

「39対61ですか。やっぱり、適いませんね」

優輝も笑った。

「またいつか、来ておくれよ?」

「はい。またいつか」

最後に礼をして、優輝は食堂を後にした。

皆のいる校庭に走る。

「優輝!」

皆の声が聞こえる。

「遅いぞ!」

「サンドイッチなくなっちゃうわよ!」

「一条君の分取っておいてあげたよ~!」

優輝は走りながら思った。

この時を、永遠に忘れない。

一生覚えていよう。

皆の元にたどり着くと、優輝は叫んだ。

「皆!本当にありがとう!」

皆は驚いたような顔をしたが、次の瞬間笑顔になった。

泣き出す子もいた。

「優輝ぃぃぃ!」

皆が優輝の周りに集まる。

「手紙送るからな~!」 

「またいつか、絶対会おうぜ!」

「うん。またいつか」

何度言っただろう。

「またいつか」

優輝はまた叫んだ。

「絶対会おうね!」

ミラルも笑顔でそれを眺めていた。
< 113 / 284 >

この作品をシェア

pagetop