切れない鎖
シャルンが優輝の耳元に唇を寄せ、何かを言った。
「え?何で、シャルンそのこと……」
「船出ちまうぞ!」
優輝が意味を聞こうとすると、シャルンに背中を押された。
「あ、うん……」
「またな!優輝!」
「またね……」
大きく手を振るシャルンに手を振り返し、船に向かう。
(どうしてシャルンが知ってるんだ?)
人が行き交う港の中で優輝は考える。
「どうして?」
船に乗り込んだ。
大きく手を振る四人。
優輝も大きく手を振り返した。
「どうして……」
優輝はシャルンの言葉を頭の中で繰り返した。
『塔の女の子のこと教えてやれなくてごめんな』
「あの女の子のことを知ってるんだ?」