切れない鎖
モノローグ
泣き声が聞こえる。
何かを我慢するような辛い泣き声。
階段を下っていく音。
今日は、何だか乱れているな。
少年らしくないぞ。
自分の目からも涙が零れる。
行ってしまった。
今のが最後になったのかもしれない。
少年よ。
私と出会ってくれてありがとう。
本当に、悲しい。
君といた時間が楽しすぎたから。
人間、出会えばいつかは別れの時が来るもの。
他の人間も、こんな思いをしながら生きているのだろうか。
分からない。
私は何も分からない。
そんな私に何でも教えてくれたのが少年だったではないか。
けれどもう会えない。
喋れない。
頼れない。
本当に、悲しい。
だから、またいつか。
一条……。