切れない鎖
「まずは優輝、お帰りなさい」
「ただいま」
父の言葉に返す。
「半年間留学してどうだった」
「僕のフランス語が通用する事が分かりました。それからユルサルは本当に栄えていて、日本とは大違いでした」
「そうか。日本の方が遅れている、ということだな?」
「はい」
咲が欠伸をした。
母がそれを窘める。
「学園の方はどうだった」
「とても大きく、城のような見た目でした。森にも囲まれていて空気もよく、沢山の友達が作れました」
「そうか」
父が満足そうな顔をした。
「ガールフレンドは出来たかしら?」
「咲!」
場違いな咲の言葉に母が叱咤する。
「可愛い弟の行く末を気にしているのです」
「そういうことは優輝さんが一人でいるときにお聞きなさい」
「はぁい」