切れない鎖
「それって、後になったら聞かれるって事じゃないですか!」
「うふふ。楽しみにしていますね?優輝さん」
「咲……」
優輝はうなだれた。
「ふざけた話はそこまでだ。優輝、家を継ぐ覚悟は出来ているか?」
父が真面目な顔で問う。
「え、もう家を継ぐのですか?」
「今すぐではない。私が老いて、何も出来なくなったときにだ」
優輝は俯いた。
「もともと、一条家を継ぐために生きてきたので、継ぐ覚悟はいつでも出来ています」
「俯いたままで言っても良い言葉だと思っているのか?」
父の言葉が胸に響く。
優輝は顔を上げた。
「僕は、世界のことを何も知りません。日本のことだって、詳しく知っている訳ではない。だから、もう少しだけ、自分が成長できる時間が欲しいんです。肉体的にも、精神的にも」